クラウド事業部の左川です。
これまで、数千ページ規模のリニューアル案件や毎月100件以上のリリースがある運用、LP作成やバナー作成、それから、いわゆる炎上案件と呼ばれる類のものなど、幸か不幸か様々なwebサイト構築・運用案件を通して、いろいろなことを経験してきました。
レアケースだと(会社が民事再生になったため、派遣会社への支払いができず、制作スタッフが引き上げられる)という事態に陥った構築案件もありました…。
私は、どのような状況下にあっても、ディレクターはプロジェクトをゴール導いていく動きをするべきだと考えます。
Webサイト構築の場合、会社によってはディレクターとは別にPMが付くことが多いですが、必ずしもそうでもなく、ディレクターがPMとしての役割も担う必要があることも少なくありません。そのため、本記事ではPMとディレクターを兼任という前提で、Webディレクションに求められるスキルについてご紹介します。
- クラウド事業部 シニアマネージャー 左川裕規
-
2002年、広告会社へ入社し、マーケティングプランナーとして従事。家電メーカーや大手通信会社、商業施設などのプロモーション戦略やWebサイト制作に携わる。その後、2006年国内最大手シンクタンク野村総合研究所グループ(現)NRIネットコムへ入社。テクノロジーとUXの設計構築コンサルタントとして、大手証券会社のWEB戦略、国内流通産業大手のインターネットマーケティング戦略、ネット損保のWebプロモーション戦略に参画、従事。2016年、株式会社イデア・レコード入社。
相手にわかりやすく伝える力
プロジェクトでは様々な人間が絡んできます。・顧客側:担当者、担当者の上司、所幹部、広報など
・制作側:ディレクター、アシスタントディレクター、デザイナー、プログラマー、ライター、営業、上司など
・その他:協力会社、ASP提供会社など
ディレクターは、様々なシーンで説明を求められます。
デザイナーにターゲットや構成を伝えたり、担当者の上司にサイトの骨子を伝えたり、上司にプロジェクトの進捗と課題を説明したり…など、その時に重要なのは相手のリテラシーに応じて、専門用語や説明の仕方を工夫して相手に理解してもらうことです。
それが出来ないと相手には伝わらず、動いてくれません。
また、仕様についても顧客にきちんと理解してもらわないとあとで齟齬が発生することも少なくありません。
“言った言わない”になると、制作側が泣きを見ることの方が圧倒的に多いです。
相手に言うだけではなく、きちんと理解してもらうこと、それが”伝える”ことではないでしょうか。
段取り力×柔軟性
プロジェクトは”段取り”の良し悪しによって、品質や負荷、メンバーのモチベーション等が大きく変化し、進行と結果が変わってきます。その”段取り”の多くを担うのがディレクターとなります。多くのプロジェクトは想定通りに進みません。
顧客の要望が変わったり、考慮していない事項によって仕様変更を余技なくされたり、制作の進捗が思ったり良くなかったり、スタッフが体調不良になったり・・・内外の要因によって、スケジュール通りには進まず、絶えず新しい課題が発生します。
そんな中、ディレクターはプロジェクトをゴールに導くために進行させなくてはいけません。
そのために重要なのは段取りと柔軟性となります。
顧客とどのような形で内容・仕様に合意を得ていくのか、デザインやコーディングをどのような順番で作成すればいいのか、前もって確認すべき仕様は何なのか・・・様々な要件をパズルのようにうまくあてはめていく必要があります。
そしてゴールに向かうための道はまっすぐではないため、その場の状況に応じながら柔軟に対応しなくてはいけないのです。
ドラマ「ドクターX」では大門未知子が手術前に作成するノートというものが登場しました。
手術にあたって、ありとあらゆるケースが想定され、その場合はどのような処置を行うのかを詳細にシミュレーションされています。「私、失敗しないので」のセリフの裏には、詳細なシミュレーションという根拠があったわけです。
これは、Webディレクションにも通じるのではないでしょうか。
スルー力(ストレス耐性)
ディレクターは中間管理職みたいなものです。顧客と制作スタッフの間でどちらからも要望を言われ続け、板挟みになる宿命にあります。会社によっては、社内の上司や他部署の人間など、あらゆる関係者の板挟みのハブ的となることも多々あります。
そんなときに重要なのは、周りからの要望や指摘をありがたい話として聞きつつも、それを100%自分自身で消化しないことです。
毎回毎回すべてを真摯に受け止めていくと、必ず消化不良を起こし、身も心も疲れ果ててしまうことが多いです。そうなってしまっては元も子もありません。
そうならないように、
「受け止めること」と「受け流すこと」
「すぐに対応すべきもの」と「リリース後に対応するもの」
「反省すること」と「ハッ?と開き直ること」
「違います!と反論すること」と「はいはいそうですか、と相手に言わせておくこと」
など、しっかりと切り分けていくことが大切です。
ディレクターとは基本的には周りから何かを言われ続けるものです。そのため、プロジェクトにとって必要じゃないものを「スルー」する力を早めに身に着けることが何よりも重要なスキルかもしれません。これはディレクターだけに限らず、会社員の多くに通用する話ですが。
以上が、僭越ながら私が考えるwebディレクションに求められる3つのスキルとなります。
もちろんwebを取り巻く環境は変化をしているので、このスキルも変わっていくことでしょう。
今後もイデアレコードの制作に係わる記事をご紹介していきます。ぜひお役立てください。